【NFT×アート×社会課題】NFTの力で東南アジアのアートに花を咲かせる。

中村英誉氏プロフィール

京都造形芸術大を卒業後、渡英しロンドンC.H.A.S.Eアニメーションスタジオにて勤務。

帰国後はDLE/蛙男商会にて、「鷹の爪」などのテレビアニメ・映画・WEB・モバイルなどのコンテンツ制作に従事されました。

その後、東大発ベンチャー企業の株式会社フィジオスのアートディレクターとして勤務(米国シリコンバレーのビジネスコンテストiEXPOにて最優秀賞を取得)。

現在はカンボジアで社会課題に対して取り組む、一般社団法人ソーシャルコンパスの代表を務められています。

一般社団法人ソーシャルコンパスについて

Q: 一般社団法人ソーシャルコンパスについて、ご紹介いただけますか。

一般社団法人ソーシャルコンパスは、社会問題をアート・デザインで解決するため、カンボジアで結成された団体です。

活動としては、途上国をメインにクリエイティブ制作を行っています。具体的には、社会に対し良いインパクトを与える、という観点でのパッケージデザインやプロダクト制作、カンボジア人スタッフの育成を行っていますね。

特に、社会課題に関する映像制作、アニメーション制作は力を入れている活動の一つです。ジャパンハートさんとはゆるキャラを使い、心臓マッサージの方法を分かりやすく説明する動画を作りました。

ミャンマーでアニメーションのワークショップを開催している様子
ミャンマーでアニメーションのワークショップを開催している様子

Q: NFTはどのように活用されたのでしょうか?

ーデジタル作品をNFT化、VR空間での展示会を開催しました。

VR空間での展示会の様子
VR空間での展示会の様子

Q: 途上国でNFTを活用する目的は何でしょうか?

途上国のアーティスト支援です。NFTを活用すれば、現実で売買された物の還元金がアーティストへ入り続ける仕組みが作れ、アーティストの持続的な支援に繋がります。

ただ、NFT取引はウォレット所持の必要があるなど参入ハードルがあります。こういった点は我々※ホワイトキャンバスの中でフォローアップしていきたいと考えています。

また、バーチャル空間でのNFT販売はまだOpenSeaやRaribleのように簡単に取り扱いできません。加えて我々にはまだ大きなブランド力がなく、売るのが難しいです。

しかし、そんな中でも東南アジアのアーティストの作品が売れる仕組みづくりを目指し、日々奮闘しています。

※ホワイトキャンバス:東南アジアを舞台にしたアートコンペティション、アーティスト支援事業の総称。作品が最初に売れたときだけでなく、2次販売、3次販売と、売買が繰り返されるたびにアーティストに売り上げの一部が還元される仕組みを、ブロックチェーン技術を使って構築します。国や人種に関係なく優れた作品・アーティストが正当な評価を得ること、またアーティストを職業として活動していけるための対価を得られる新しい仕組みを目指しています。(プレスリリースより引用)

社会課題にアプローチする理由

Q:社会課題解決に向けた取り組みをされているのはなぜですか?

いろんな側面はあるものの、単純に広告で生きていくというのはつまらないと思っていました。もっとダイレクトに人を救えるデザインを通し、ソーシャルビジネスを行いたいと思いましたね。

ソーシャルビジネスへ興味を持ったきっかけは、カンボジアで生きる意味を考えたことです。カンボジアでノマドワーカーとして生計が立てられるようになった時、正直他の国へ行こうかな、どこへ行っても変わらないな、と思っていました。そんな時、カンボジアでないとできないことは何だろうと考えたんですね。その結果、「社会貢献をしたい」というところに行き着きました。

というのも、カンボジアに住み始めてからソーシャルインパクトを出していく生き方が身近に感じられるようになったんです。それまでは社会貢献をしている人が身近にいなかったのですが、NGOやボランティアの人に多く出会い、皆さん思った以上に面白かったんですよね。

また、単純に自分がやりたくて行ったことを通じて人が喜んでくれたら嬉しいなと思います。

Q: 数ある社会課題の中でもアートとNFTに目をつけたのはどうしてですか?

アメリカやヨーロッパの方ではアートは盛んで、アーティストとして生計を立てている人が年々増えていっている印象があります。しかし、東南アジアではそこまでアートが盛んではなく、アーティストを目指しても生計を立てられるほど稼ぐことができません。そんな中、NFTを活用することで、少しながら生計を立てられる人が増えてくるのでは!?というところからNFTを活用することを決めました。

出品されたカンボジア人アーティストの作品
出品されたカンボジア人アーティストの作品

NFTを知ったきっかけ

Q: NFTを知ったきっかけは何だったんでしょうか?

クリプトキティの登場です。

あの時はまだNFTという言葉自体はなかったですね。なぜこんな猫の作品が購入されるのかと思いつつ、アイデア自体が面白いなと思ってすぐに買いました。

Q: クリプトキティはNFTの先駆けとはいえ、だいぶ前になりますね。

  そこから2021年現在、NFTはすごい勢いで広まっていますよね。

はい、NFTが広まるスピードがめちゃくちゃ早いなと思います。

NFTという言葉が出てからのバズりの速度や金融機関の参入の速度はとてつもなく早く、誰もついていけてないのではないかとも思います。この速さから、NFT自体、革新的なテクノロジーであるのだろうと思いましたね。

Q: 具体的には、NFTのどんなところに魅力を感じていますか?

数字を単なる数ではなく、自分の分かりやすいものに置き換えて保管していくところです。

途上国にいると、数字が読めるか読めないかが貧困格差になるという感覚があります。例えば、カンボジアではサラ金を借りたもののお金が返せず、人身売買される、ということがあります。

お金を借す側の人がしっかり説明しても、利子の概念を理解してもらうこと自体が難しいゆえ、利子の大きさを聞いても想像できないというところがあるのです。

だったら、数字を直感的に理解できた方がいいと思いませんか?

NFTであれば数字のビジュアライズは実現可能だと考えています。

Q: NFTによって数字を直感的に理解できるって凄いですね。ここまでのお話を聞き、中村さんはNFTを買う側へ焦点を置かれているように感じました。

はい、NFTを作った人だけでなく、買った人にもすごく興味をもっています。

リアルにはないものに何億円のもの価値を付けられて買う人がいる、というのはすごく面白いです。

また、想像を膨らませた時、そのうちイーサリアムで生活する人が出てきたら面白いとも思いますね。仮想通貨はどんなに稼いでも税金を取られ、円に換算すると結局交換所しか儲からない、といった現状もあります。そうではなく、その通貨のまま買えるものをつくった方が良いと思っています。

イーサリアムで食べ物を買って暮らせたら、新しい時代の到来のような気がしますね。

Q: イーサリアムで生活できる世界は面白いですね。ただ、NFTはまだ認知が低いと思われます。カンボジアでのNFTに対する関心度はいかがですか?

まだ多くの人には知られていないと思います。これはカンボジアに限らず日本でもそうですよね。

知られていない理由としては、所有の価値観がこれまでと大きく異なるところがあると思います。物理的には存在していないものを高額で買う、ということが当たり前の世界ですが、この概念は一般的とは言えませんよね。相当既存の概念を入れ替える必要があります。

Q: NFTを理解してもらうために、工夫していることはありますか?

僕はNFTを説明するとき、NFT=「還元金」と置き換えます。少しでも実用的で分かりやすい言葉に置き換えることを意識し、関心へ繋がるようにしています。

アーティストとNFT

Q: NFTを通じて、アーティストのどのような課題が解決されるのでしょうか?

カンボジアのアート市場は小さく、アーティストという職業自体ほぼ存在しません。

ただ、NFTの活用を通じアーティストがより多くの人から注目を集め、市場の活発化へ繋がると期待できます。

カンボジアではNGOも含め絵画教育は行われており、アーティストが生まれています。しかし、アーティストがいても現状マーケットが開いているとは言い難いです。

そのため、トレンドのNFTやVRギャラリー展示というキャッチーさをくっつけることで途上国のアートが注目され、やがてそのアーティストたちが市場に出ていく。そこを目指せたら凄くいいという想いがあります。

VRギャラリー展示会の様子
VRギャラリー展示会の様子

Q: NFTの導入を発表したとき、周囲の人からの反響はいかがでしたか?

日本からの反響はあんまりなかったです。ただ、カンボジアでの反応は良かったですね。コロナ禍ということもあってか、展覧会の機会そのものを喜んでくれる人が多かったです。

カンボジアの平均年齢は若いので、VR技術やNFTのような最新テクノロジーをすんなりと受け入れてくれた印象があります。そこに可能性を感じましたね。

Q: NFTの導入において苦労したことはありましたか?

周りの人にNFTの価値を説明することですね。

社内の勉強会でさえ、NFTについては説明しても伝わっていないのだろうなと感じることがありました。

また、まだ法律的にあやふやな面が多く、小規模単位でも参入は怖いと思うことがあります。僕も含め、まだまだ手探りな状態です。

NFTの可能性や今後期待すること

Q: 最後にNFTにどのような可能性を感じているのか、また、今後NFTに期待することを教えてください。

ブロックチェーン技術のあるべき姿は中央集権ではなくてボーダレスなことです。

しかし、中国が暗号資産関連の取引を全面的に禁止すると発表したように、本来とは違うブロックチェーンの使われ方をされるケースも見受けられます。

また、金融機関がブロックチェーン技術を内部のためだけのテクノロジーとして活用する話を聞くとすごく残念な気持ちになりますね。

本来のようにボーダレスに活用されるものになれば、格差社会の是正にも繋がる可能性があります。もっとフラットなテクノロジーになってほしいと願っています。

〈一般社団法人ソーシャルコンパス〉

ホームページ:http://socialcompass.jp/

Twitter:https://twitter.com/compassacademia

〈一般社団法人ソーシャルコンパス代表 中村英誉氏〉

Twitter: https://twitter.com/hidehomare

note:https://note.com/socialcompass

〈White Canvas(ホワイト キャンバス)〉

ホームページ:https://whitecanvas.pro/