【注目ニュース】 楽天、GMO、ミクシィ、バンダイ 相次ぐ大手企業のNFT参入とその背景を解説

NFT Mediaでは毎週NFT関連のニュースから注目すべきニュースを解説しています。今週は楽天、GMOなどの大手企業によるNFT参入についての解説記事です。

8月29日から9月4日の1週間で楽天のNFT事業への参入、GMOのマーケットプレイス提供開始の発表、さらにはミクシィやZホールディングス(ZHD)とバンダイナムコが事業を運営する​​企業への資金調達などの発表がありました。大手企業によるNFTに関連するニュースが目立っていたといえます。

今後のNFTの動向が気になる方向けにそれぞれのニュースを振り返りながら解説していきます。

楽天 NFT 事業に参入へ 2022春にマーケットプレイス提供を開始予定

8月30日、楽天グループ株式会社はブロックチェーン技術を活用したNFTの事業に国内で参入することを発表しました。

Rakuten NFT 楽天NFT事業に参入へ
2022春にマーケットプレイス提供を開始予定
引用:楽天グループ株式会社コーポレートサイト

楽天は、「マーケットプレイス」と「プラットフォーム」をあわせ持つ「Rakuten NFT」の提供を2022年春に開始する予定です。マーケットプレイスではスポーツや、音楽・アニメをはじめとするエンターテインメントなど様々な分野におけるNFTを、ユーザーが購入したり、個人間で売買したりすることができます。プラットフォームでは独自にIPホルダーがワンストップでNFTの発行、および販売サイトの構築が行えます。

ユーザーは、IPホルダーが「Rakuten NFT」で発行するNFTを購入し、ユーザー同士で取引することができます。決済には楽天IDを使用でき、楽天ポイントを貯めたり、使ったりすることも可能になる予定です。また、IPホルダーは、ブロックチェーンに関する専門的知見がなくても、自身で技術開発を行うことなくNFTを発行・流通させることができるようになるそうです。

さらに楽天が運営する他のサービスにおいて、ユーザーが商品の購入や使用条件を満たすとNFTを景品として獲得できるなど、様々なサービスと連動したプラットフォームとしても活用できるようになる予定です。

楽天は2016年にブロックチェーン技術に特化した研究開発組織「楽天ブロックチェーン・ラボ」の開設、2019年には楽天ウォレット株式会社において、暗号資産における現物取引サービスを提供しました。今回のNFT参入に関して「NFTは、デジタルデータに固有性と希少性を保証できることから、デジタルコンテンツ分野における画期的な技術であり、コンテンツ産業を革新できる可能性があるもの」としています。

これまでに培ってきた技術を最大限に利用していくとのことです。そのうえで、暗号資産の投資家や、テクノロジーに強い関心があるコミュニティを中心に流通しているNFTの現状の市場環境に変化を与え、幅広いユーザーがNFTを保有することに価値を感じられるよう、「NFT市場の民主化」を目指していくそうです。

日本のIT業界を牽引している楽天のNFT参入の発表は、NFT市場への可能性が見出せるニュースの一つであるといえるでしょう。

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GMO NFTマーケットプレイス「Adam byGMO」β版の提供を開始

8月31日、GMOインターネットグループのGMOフィナンシャルホールディングス株式会社の連結会社であるGMOアダム株式会社はNFT マーケットプレイス「Adam by GMO」のβ版提供開始を発表しました。

GMO NFTマーケットプレイス「Adam byGMO 」提供開始
引用:PR TIMES

「Adam byGMO」とはNFTを活用したコンテンツ流通革命の支援を目的とし、真正性と安全性の高いデジタルコンテンツの決済・流通を実現する、NFT出品・購入のためのプラットフォームです。イーサリアムによる決済のほか、口座振り込みやクレジットカード払いに対応するなど多様な決済手段を持っています。従来のNFTマーケットプレイスより簡単・便利に使うことができます。

また、作品購入の都度、NFTコンテンツの作者であるクリエイターにロイヤリティが還元される仕組みとなっていることから、クリエイターのファンは「Adam byGMO」で作品購入を行うことで、応援するクリエイターへの支援を行うことも可能です。

β版サービス開始時点で、立ち技格闘技・K-1やYouTuber・ヒカル氏のコンテンツのほか、総勢36名の漫画家・イラストレーターによる作品等の多くのファンを持つデジタルコンテンツ計1,192点の出品・販売が行われています。また、今後は漫画家・東村 アキコ氏の作品の出品も予定されているほか、一般のアーティストの方を含む、より幅広い方に出品いただける正式版を提供予定とのことです。

<YouTuber ヒカル氏>

YouTuber ヒカル
引用:GMOインターネットのニュース

<漫画家 東村アキコ氏>

漫画家 東村アキコ
引用:GMOインターネットのニュース

海外マーケットプレイスでは今のところ決済手段の複雑なケースが多く、それがNFTの参入障壁になっていることもあります。しかし、「Adam by GMO」は口座振り込みやクレジットカード払いに対応しているため、国内でもより気軽により多くの人がNFT の出品や購入が可能になる機会となりそうです。

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ミクシィ 暗号資産取引所ビットバンク株式会社に約70億円の資金調達

9月2日、ビットバンク株式会社 は株式会社ミクシィと資本業務提携契約を締結、第三者割当増資で約70億円、および既存株主株式会社セレスからの追加出資5億円と合わせ、総額約75億円の資金調達を実施することを発表しました。

暗号資産取引所ビットバンク株式会社、ミクシィとセレスより約75億円の資金調達を実施
引用:PR TIMES

ビットバンク株式会社は暗号資産取引所「bitbank(ビットバンク)」を運営しています。「bitbank」はビットコイン・リップル・イーサリアムなど人気の暗号資産(仮想通貨)を売買できる取引所です。また、「bitbank」以外にも、保有する暗号資産を取引所に貸し出して金利を受け取るレンディングサービスなどを展開しています。

出資者のミクシィとセレスからはそれぞれ以下のコメントが出ています。

株式会社ミクシィ 代表取締役社長 木村 弘毅氏

「現代社会は、様々なものがDXされロジスティクスや管理の効率が向上されていき、質量を持たないことが付加価値になっている時代です。通貨はその代名詞であるとも思います。ビットバンク社は暗号資産取引所の運営において、最先端のテクノロジーを用いて安定したシステム運用、高度なセキュリティ対策などを実現しており、その高い技術力に大きな魅力を感じています。

今回の資本業務提携を通じて、ビットバンク社の持つ最新技術と、当社が培ってきたサービス開発やゲーム&スポーツIP、マーケティングに関するノウハウを相互に生かしていくことで、共に大きく成長していくことができると考えています。」

セレス株式会社 代表取締役社長 都木 聡氏

「2015年に初めてビットバンクに資本参加させていただいた時は、ビットコイン価格は2万円台で、日本の暗号資産市場はまだ未成熟でしたが、暗号資産・ブロックチェーン技術によってイノベーションが必ず起きると信じて、セレスとしてもビットバンクと事業展開を進めてきました。2021年にはビットコイン価格は700万円をつけ、ビットバンクは国内最大規模の暗号資産取引所に成長しております。

今回の資本増強をミクシィ社と共に行うことによって、IEO、カストディ、NFTなど拡大する暗号資産・ブロックチェーン市場において、国内No.1事業者になることができると確信しております。」

暗号資産取引所「bitbank」は2021年4月実績で月間現物取引高約1.4兆円、国内現物取引シェア33.7%、顧客預かり資産は約3000億円と事業規模が拡大しています。今回の2社による出資はますますその拡大を押し進める形となりそうです。

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ZHD、バンダイナムコ NFT事業を運営するdoubulejump.tokyoに出資

9月3日、doublejump.tokyo株式会社はZホールディングス株式会社のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)であるZ Venture Capital株式会社、株式会社バンダイナムコエンターテインメント及び株式会社バンダイナムコライブクリエイティブ、株式会社bitFlyer Holdings(※1)に対し第三者割当増資を実施したことを発表しました。

(※1)bitFlyer グループは暗号資産・ブロックチェーン事業者として、「ブロックチェーンで世界を簡単に。」をミッションに掲げ、日本・米国・欧州連合の 3 地域において 250万人を超えるお客様を抱えるグローバルな暗号資産取引所を運営。さらに、独自開発したエンタープライズ向けブロックチェーン「miyabi」を活用し、ブロックチェーンの社会実装を推進中。

dubulejump.tokyoはブロックチェーンゲーム専業開発会社として、2018年4月3日に設立。「My Crypto Heroes」「BRAVE FRONTIER HEROES」「MyCryptoSaga」などの人気ブロックチェーンゲームの開発やブロックチェーンゲーム開発支援サービス「MCH+」及びNFT事業支援サービス「NFTPLUS」、複数人で秘密鍵管理できるビジネス向けNFT管理SaaS「N Suite」の提供・開発を行っています。

その背景を踏まえ、今回の出資の目的についてそれぞれ以下のように述べています。

Z Venture Capital株式会社:『人類は「自由自在」になれる』というビジョンを掲げており、DJTへの出資を通じて、特にゲーム・エンターテインメント業界におけるブロックチェーン技術を通じた新たな価値体験の提供を目指してまいります。

この出資により Zホールディングスのグループ会社であるLINE株式会社のグループ会社のLVC株式会社との連携や、LINEの独自開発ブロックチェーン「LINE Blockchain」の活用等、ブロックチェーン領域におけるLINEグループとの協業関係も強化も図られるようです。

株式会社バンダイナムコエンターテインメント/株式会社バンダイナムコライブクリエイティブ:『世界で最も期待されるエンターテインメント企業グループ』というビジョンを掲げており、DJTへの出資を通じて、エンターテインメント領域における新たな価値創造を目指してまいります。

株式会社bitFlyer Holdings :「ブロックチェーンで世界を簡単に。」をミッションに掲げ、傘下には日本・米国・欧州連合の3地域において 250万人を超えるお客様を抱えるグローバルな暗号資産取引所を運営しております。さらには、独自開発したエンタープライズ向けブロックチェーン「miyabi」を活用し、ブロックチェーンの社会実装を推進しております。

この出資を通じて、グローバルな暗号資産取引所 bitFlyer の顧客基盤を活用した NFT 事業提携、各種コンテンツの NFT 発行支援、さらには DJT のブロックチェーンゲームにおける「miyabi」の活用検討など、NFT 事業に関する幅広い協業関係を構築し、新たな事業拡大を図っていくそうです。

今回の出資によって資金だけでなく、協業も勧められていくことから日本でもゲームやエンターテイメントの領域でのNFTの活用の幅が広がっていきそうです。

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大手企業が続々とNFT事業に参入する理由

ここまで大手企業のNFT参入に関連するニュースを紹介してきました。

大手企業が続々とNFT事業に参入する背景はどこにあるのでしょうか。

当然ながら、NFTアートが高額で落札されたり、「play-to- earn(遊んで稼ぐ)」というワードが出ているようにNFTのゲームで稼ぐというスタイルが広がったりと世界的にNFT が盛り上がりをみせているという時代の流れそのものが、大手企業のNFT参入に繋がっているともいえるでしょう。

しかし、今回NFT参入を発表した企業の特徴に着目するとそれ以外の背景もみえてきます。まず、着目するのは企業の業種です。楽天、GMO、ミクシィ、ZHDと多くがIT企業に分類されます。そして、共通点として特に日本がまだインターネットの黎明期と呼ばれたときからインターネット事業を始めているという点があげられます。これらの企業はいずれも今では日本のIT業界を牽引しています。そういう観点から、今はかつてのインターネットと同様に黎明期といわれるNFTに参入することで、将来的には国内のNFT事業を牽引していこうという意図があるのかもしれません。

また、ミクシィ、バンダイのようにゲームやエンタメ事業に強みをもつ企業の参入については所有するコンテンツのIPと暗号資産との組み合わせによる新たな市場開拓への狙いも背景にあるといえます。例えば、ミクシィは代表格に「モンスターストライク」、バンダイは「太鼓の達人」「アイドルマスター」「テイルズ オブ」シリーズなど有名コンテンツを多く所有しています。これらのゲームはすでに世界中で愛されています。こうした強いコンテンツを武器にNFTのゲームとして広げていくことで、さらに強いプロダクトが生み出されることが期待されます。

2つ目に着目したいのはこれらの企業の多くがすでにブロックチェーンや暗号資産に関する事業に携わっているということです。例えば、これまでに楽天は「楽天ブロックチェーン・ラボ」を開設したり、ZHDグループであるLINEが独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」のサービスを提供したりしてきました。

このように今回参入した企業の多くがNFTが流行り出す以前からブロックチェーンや暗号資産関連の事業を行っています。つまり、NFT への参入は決して0からのスタートというわけではなく、これまで培ってきたノウハウを活かせるというアドバンテージが大きく働いているといえます。

今回の大手企業のNFT参入の背景には既存のコンテンツや事業の強みが活かせることが一つ大きなポイントだったと考えられます。

まとめ

今回のNFT参入のニュースではインターネット企業やエンターテイメント企業が主でした。今後、これらの業界でNFT事業の成功事例が増えていけば、その熱は他の業界にも伝播していくはずです。それゆえ、もっと幅広い業界からの参入も将来的には予測できます。

国内企業のNFT参入が増えていけば、企業の枠組みを超え、一般生活者にもNFTへの関心が広がることでしょう。NFTの市場自体も大きくなりそうです。また、一般のクリエイターにとっても大きなビジネスチャンスの機会となるのではないでしょうか。