NFTが国内で注目を集め始めてから、すでに数年が経過しました。2021年には「NFTバブル」とも呼ばれる盛り上がりを見せましたが、その後市場は成熟し、新たなユースケースが次々と登場しています。
特に、日本の漫画・アニメ業界では、NFTを活用したファンエンゲージメントや新しい収益モデルが確立されつつあり、国内外の企業が独自のプロジェクトを展開しています。
本記事では、2025年現在の最新事例を含め、漫画・アニメ分野におけるNFTの活用事例を紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
Contents
国内の漫画・アニメにおけるNFT活用事例20選
漫画・アニメ業界でのNFT活用例をご紹介します。
- ONEPIECE(ワンピース)
- 約束のネバーランド
- 進撃の巨人
- 北斗の拳
- 鉄腕アトム
- 左利きのエレン
- 魔法使いの嫁
- 鷹の爪
- コブラ
- 宇宙兄弟
- TOMIE by Junji Ito
- シュート!
- 忍ばない!クリプトニンジャ咲耶
- I am xAlice
- 遊戯王
- DeManga
- リコリス・リコイル
- 俺だけレベルアップな件
- 七つの大罪
- 進撃の巨人 The Final Season デジタルコレクション
それぞれ順番に見ていきましょう。
ONEPIECE(ワンピース)
| リリース時期 | 2021年3月 |
| 販売場所 | SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE |
| 運営会社 | 株式会社集英社 |
| 公式HP | https://mangaart.jp/ |
2021年3月、集英社が「マンガを、受け継がれていくべきアートに」というヴィジョンのもと「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」というプロジェクトを立ち上げました。
当プロジェクトは、アニメや漫画作品に「美術品」としての永続的な価値を与える新しい取り組みで、NFTを活用し、証明書を発行して来歴を永続的に記録することを可能にしました。
そこで、第一弾として世界的人気アニメONEPIECE(ワンピース)のアート作品が出品されました。
約束のネバーランド
| リリース時期 | 2021年7月 |
| 販売場所 | みんなのネバーランド |
| 運営会社 | 株式会社Gaudiy/株式会社集英社 |
| 公式HP | https://neverland.taiken-museum.com/ |
2021年7月17日から12月30日までの間、体験ミュージアム『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編が開催され、NFTを活用したプレゼントキャンペーンを開催しました。
本企画は、ファンの方々がミュージアムに来場したり、SNSのキャンペーンに参加することで、約束のネバーランド公式のファンコミュニティサービス『みんなのネバーランド』内で無料でNFTを受け取ることができるというものでした。
進撃の巨人
| リリース時期 | 2019年5月 |
| 販売場所 | Anique |
| 運営会社 | Anique株式会社 |
| 公式HP | https://anique.jp/ |
2019年5月、日本のアニメや漫画のアートワークのデジタル所有権を購入することができるNFTマーケットプレイス「Anique」にて、進撃の巨人のアートワークが出品されました。
NFTマーケットプレイス「Anique」では他にも、七つの大罪や五等分の花嫁などの作品も出品されています。
北斗の拳
| リリース時期 | 2021年10月 |
| 販売場所 | FanTop |
| 運営会社 | 株式会社MyAnimeList |
| 公式HP | https://mxj.myanimelist.net/ja/mangafragments/fistofthenorthstar/ |
株式会社MyAnimeListの運営する、漫画のコマを用いたNFTおよびデジタルグッズを扱う『Manga Fragments』の第1作目として、「北斗の拳」の漫画コマNFTがNFTマーケットプレイス「FanTop」にて販売されました。
「北斗の拳」の漫画コマNFTは、全38種類のうちランダム7個が入っているボックスでの販売となっており、限定418ボックスの販売でしたが、現在は完売している状態です。
鉄腕アトム
| リリース時期 | 2021年11月 |
| 販売場所 | OpenSea |
| 運営会社 | 株式会社手塚プロダクション / double jump.tokyo株式会社 |
| 公式HP | https://tezuka-art.nftplus.io/ja |
手塚プロダクションが、double jump.tokyoのNFT事業支援サービス「NFTPLUS」を通じて、手塚プロダクション公式NFTプロジェクト「From the Fragments of Tezuka Osamu(手塚治虫のかけらたちより)」をリリースしました。
シリーズ第一弾は「鉄腕アトム」、第二弾「火の鳥」、第三弾「ブラック・ジャック」の3種で設計されており、「モザイクアートNFT」「ジェネレーティブアートNFT」の2形態でデジタルアートNFT作品を出品しました。出品後、ジェネレーティブアートNFTは約1時間で完売し、モザイクアートNFTは約5300万円で落札され、大きな話題となりました。
本プロジェクトのデジタルアートNFT(モザイクアート・ジェネレーティブアート双方)の純売り上げはユニセフと日本の子供のための組織に各10%寄付されました。
左利きのエレン
| リリース時期 | 2022年4月 |
| 販売場所 | tofuNFT |
| 運営会社 | double jump.tokyo株式会社 / 株式会社gumi / 株式会社ナンバーナイン |
| 公式HP | https://eren.nftplus.io/ |
double jump.tokyo株式会社、株式会社gumi、株式会社ナンバーナインの3社共同で、コンテンツ配信サイト「cakes」で連載中の漫画『左ききのエレン』に実際に登場するストリートアート2点のNFTを2022年4月に販売いたしました。
NFTの所有者は、特典として漫画の登場人物として出演する権利が与えられるなど、NFTのみならず実際の漫画作品にも深く関わることができます。
本NFTは、最終的に332,300ASTR(約830万円)で落札されました。
魔法使いの嫁
| リリース時期 | 2022年6月 |
| 販売場所 | Mugen ARt |
| 運営会社 | MAG HUB PTE. LTD. / 株式会社HashPalette / 株式会社Link-U / 株式会社マッグガーデン |
| 公式HP | https://www.mugenart.io/ |
MAG HUB PTE. LTD.、株式会社HashPalette、株式会社Link-U、株式会社マッグガーデンの4社は共同で、人気マンガ作品「魔法使いの嫁」の3D ARフィギュアNFTを、3D AR-NFTマーケットプレイス「Mugen ARt」にて2022年5月より販売しました。
本NFT作品は、デジタルデータとしてだけではなく、現実世界へ投影して楽しむことができます。
鷹の爪
| リリース時期 | 2022年12月 |
| 販売場所 | 未定 |
| 運営会社 | 株式会社ディー・エル・イー |
| 公式HP | https://xn--u9j429qiq1a.jp/news/ |
株式会社ディー・エル・イーは、「鷹の爪団」の公式NFTプロジェクト「TAKANOTUMEDAN」を開始することを発表しました。
本プロジェクトの第一弾として、鷹の爪団の各キャラクターの画像素材をランダムに組み合わせたジェネレーティブNFTを発行し、販売する予定です。
また、鷹の爪団は分散型自立組織「DAO」の理念に深く共感しており、今後は一定の条件を満たした団員に、保有している鷹の爪団NFTの商用利用を認め、本プロジェクトをファンと一体となって盛り上げていこうと計画しています。
コブラ
| リリース時期 | 2022年11月 |
| 販売場所 | https://otaku-culture-studio.com/cobra |
| 運営会社 | 株式会社A3(エースリー) |
| 公式HP | https://otaku-culture-studio.com/cobra |
株式会社A3は、NFTプロジェクト「Otaku Culture Studio」第2弾コラボNFTとして、寺沢武一先生の漫画作品「コブラ」を2022年11月16日(水)に発売いたします。
「Otaku Culture Studio」(OCS)とは、既存のアニメ・漫画・ゲームをWeb3.0化して、ファンとクリエイターがともに作品を盛り上げる世界を目指すプロジェクトです。
今回、販売されるNFTには全てコブラの3D ARフィギュアが付属し、NFTをAR表示できるブラウザサービス「Metasco」で確認できます。
宇宙兄弟
| リリース時期 | 2022年11月 |
| 販売場所 | OpenSea |
| 運営会社 | 株式会社1SEC |
| 公式HP | https://www.metasamurai.world/ |
株式会社1SECは、フットロッカーアトモスジャパン合同会社が展開するスニーカーセレクトショップ『atmos』、人気漫画『宇宙兄弟』とコラボレーションし、3D NFTプロジェクト「MetaSamurai」とバーチャルスニーカー「AIR SMOKE ZERO 」を販売しました。
本コラボNFT作品は、発行される1点1点がそれぞれ世界で1点の貴重な作品となっております。
TOMIE by Junji Ito
| リリース時期 | 2022年11月 |
| 販売場所 | 公式サイト |
| 運営会社 | 株式会社読売テレビエンタープライズ/株式会社リードエッジコンサルティング |
| 公式HP | https://nft.ji-anime.com/ja |
アニメ「伊藤潤二『マニアック』」のNetflixでの配信を記念して、NFTコレクション「TOMIE by Junji Ito」が発売されました。
日本を代表するホラー漫画家である伊藤潤二氏初の公式NFTコレクションとして、伊藤潤二作品の中でも人気の高い「富江」のコマを組み合わせたジェネラティブアートが2222点制作されました。
NFTのユーティリティとして、SNSのプロフィール画像に使用できる他、「再生する富江NFT」がエアドロップされます。このNFTは特設サイトでキル(バーン)することが可能ですが、キル(バーン)と同時に肉片となったNFTがエアドロップされます。そして、肉片は時間の経過によって元の姿に再生します。これは作中で殺しても身体の一部から再生していく富江の特徴を再現しているとのことです。
シュート!
| リリース時期 | 2022年12月 |
| 販売場所 | NFTマーケットプレイス「animap」 |
| 運営会社 | ボアソルチマネジメント株式会社、博報堂DYミュージック&ピクチャーズ |
| 公式HP | https://www.shoot-nft.io/ |
2022年12月、ボアソルチマネジメント株式会社が、博報堂DYミュージック&ピクチャーズと共同で、人気サッカー漫画「シュート!」のNFT プロジェクト、「SHOOT! WORLD」を開始しました。
「SHOOT! WORLD」 は、人気サッカー漫画「シュート!」連載開始から約30年の時を経て、2022年Wカップイヤーに始動した、コミュニティ共創型の新たなサッカー関連IP創出を目指すプロジェクトです。
作者である大島司氏を中心に、新たなサッカー漫画や、サッカーと音楽を融合したフェスなどをコミュニティと共創していく事を目標にしています。
公式アンバサダーには、元サッカー日本代表、岡崎慎司選手、松井大輔選手らも参画しています。
忍ばない!クリプトニンジャ咲耶
| リリース時期 | 2023年10月 |
| 販売場所 | https://cryptoanimelabs.xyz/ |
| 運営会社 | CryptoAnime Labs |
| 公式HP | https://cryptoninja-sakuya.xyz/ |
「忍ばない!クリプトニンジャ咲耶」は、世界初のNFTキャラクターによるTVアニメシリーズです。
2023年10月3日(火)から、TOKYO MXにて毎週火曜25:00~25:05の時間で放送が開始され、アマゾンプライムビデオなどにも配信されています。
原作となっているNFTプロジェクト「CryptoNinja NFT」は、インフルエンサー・イケハヤ氏プロデュースの元、人気イラストレーターのRii2氏によって描かれたNFT作品です。
「誰もが自由に使えるキャラクター」として、商用利用は原則的に自由となっています。イラスト、ゲーム、絵本、マンガ、小説、グッズ、演劇など、様々なクリエイター、企業が作品を継続的に発表しています。
現在、発表された作品のNFT流通総額は16,000ETH(日本円で41億円以上)にのぼり、作品コミュニティ(DAO)に既に5万人以上のファンとクリエイターが集い日々二次創作が行われています。国内でもっとも活発なNFTプロジェクトといえるでしょう。
I am xAlice
| リリース時期 | 2023年11月 |
| 販売場所 | 公式サイトおよび公式LINE |
| 運営会社 | 株式会社リードエッジコンサルティング |
| 公式HP | https://xalice.ai/ |
「I am xAlice」は、遠い未来、人類が消えた地球で、無限の季節をループし続ける仮想世界に閉じ込められたAIアバター"xAlice"たちが繰り広げる物語を描く、コンテンツ共創プロジェクトです。
プロジェクト第1弾として、パブリックブロックチェーン「Astar Network」を基盤とする3,333体のジェネレーティブNFTコレクションとして、個性豊かなxAliceたちのデジタルイラストが販売されました。
NFTのイラストは、人気イラストレーターの「ちょん*」氏が担当しており、企画原案・アドバイザリーとして人気Web3プロジェクト「MEGAMI」チームが参画しています。
本プロジェクトは「MEGAMI」の姉妹コレクションという位置づけで、MEGAMIとのコラボレーションパーツが登場することも発表されております。
遊戯王
| リリース時期 | 2023年12月 |
| 販売場所 | https://phygitalx.io/stores |
| 運営会社 | 株式会社 YAMAKOMA ASSET BANK |
| 公式HP | https://yamakoma-asset-bank.com/ |
株式会社YAMAKOMA ASSET BANKが展開する、世界最大規模のトレーディングカード鑑定品販売所VINTAGE CARD JAPANにて、取り扱いがあるトレーディングカードの分割所有サービスが開始されました。
本サービスでは、『vジャンプフェスティバル 99」にてプロモーションカードとして配布された、遊戯王カード「青眼の白龍 Blue-Eyes White Dragon」を、NFTを用いて分割保有することができます。
本NFTの保有者は、当該NFTに関連する売却または収益が発生した場合、その収益の一部を保有割合に応じて受け取る権利を得ます。
DeManga(デマンガ)
| リリース時期 | 2024年6月予定 |
| 販売場所 | ー |
| 運営会社 | 株式会社スタッフライフ |
| 公式HP | https://demanga.me/lp/ |
「DeManga(デマンガ)」は、株式会社スタッフライフがリリースした革新的な漫画プラットフォームです。
ブロックチェーン技術を活用し、「Manga and Earn」というコンセプトを導入するこのサービスは、読者が作品を応援して報酬を得られる仕組みを特徴としています。「無料」、「待てば無料」、「有料」の3種類の漫画を提供し、オリジナルキャラクター「ピッグ」の育成システムも導入。
独自トークンの発行やNFTの活用により、読者と漫画家が一体となって作品の人気を育てる環境の創出を目指しています。また、グローバル展開や新たな読者層の開拓も視野に入れ、出版社や漫画家にとっても魅力的なプラットフォームと言えるでしょう。
リコリス・リコイル
| リリース時期 | 2024年7月 |
| 販売場所 | SNFT内オークションページ |
| 運営会社 | SNFT株式会社、株式会社A-1 Pictures |
| 公式HP | https://a1p.jp/nft/ |
人気TVアニメ「リコリス・リコイル」の2周年を記念し、ユニークなNFTオークションが開催されました。全151点に及ぶこの貴重なNFTは、アニメ制作の様々な段階から厳選された中間成果物をデジタル化したものです。作画監督修正、原画、背景美術、本撮影、アイキャッチなど、制作過程の粋を集めた各アイテムは1点ものの希少価値を持ちます。
また、本オークションのユニークな点として、オークションの売上が各素材を担当したクリエイターに直接分配される仕組みが導入されていることです。これにより、アニメ制作に携わる多くのプロフェッショナルたちに新たな収入源をもたらす可能性が生まれました。
本取り組みは、ファンにとっては、お気に入りの作品のNFTを入手できるだけでなく、クリエイターを直接支援する機会にもなるというものにもなっています。
俺だけレベルアップな件
| リリース時期 | 2024年8月 |
| 販売場所 | https://sorah-nft.io/ |
| 運営会社 | Animoca Brands株式会社 |
| 公式HP | https://animocabrands.co.jp/ |
NFTコレクション「The Sandbox -俺だけレベルアップな件: Unlimited Avatar Collection-」が、Animoca Brands JapanのNFTローンチパッド「SORAH」にて販売されました。
本コレクションは、韓国発の人気WEBTOON作品「俺だけレベルアップな件」と、4000万ユーザーを持つWeb3ゲーミングメタバースプラットフォーム「The Sandbox」のコラボレーション作品です。
NFTは100個限定で販売され、購入者は「The Sandbox」ゲーム内で「俺だけレベルアップな件」に登場するキャラクターのアバターを使用や$SANDを獲得できる限定コンテンツにも参加可能となる特典を得ることができます。
七つの大罪
| リリース時期 | 2025年3月 |
| 販売場所 | OpenSea |
| 運営会社 | 株式会社YOAKE entertainment |
| 公式HP | https://yoake-entertainment.jp/ |
『七つの大罪』シリーズ初のとなる公式NFTコレクション『YOAKE & The Seven Deadly Sins Anime Series』がOpenSeaにて販売されました。
原作コミックをベースにした大ヒットアニメ『七つの大罪』の名場面がデザインに描かれ、発行チ元にはソニー発のブロックチェーンSoneiumを採用。
OpenSeaと連携し、3月25日から0.002 ETHで72時間限定かつ数量無制限で販売。約8年にわたる連載・世界18ヵ国以上で愛されるIPを、公式デジタルアートとしてファンに届けるプロジェクトです。
進撃の巨人 The Final Season デジタルコレクション
| リリース時期 | 2025年10月 |
| 販売場所 | Digitelier |
| 運営会社 | 株式会社Tokyo Anime Artifacts |
| 公式HP | https://digitelier.jp/ |
2025年10月23日、アニメ制作会社MAPPAが選定した「TVアニメ『進撃の巨人』TheFinalSeason」の原画データ50種が各50点限定・税込4,400円でDigitelierにて販売されました。
購入作品はサイト内の「NFT出庫」でOpenSeaやSBINFT Marketへ流通可能です。NFT規格はロイヤリティ内蔵型のERC-721Cを採用し、還元分は制作環境の改善やアニメーター支援に充当されます。
販売は11月24日15時までの期間限定で、林祐一郎監督サイン入りポスターが当たる出庫連動キャンペーンも実施されました。
最後に
今回は、国内の大人気漫画・アニメのNFT活用事例についてご紹介しました。
NFTの存在は、漫画やアニメを制作するクリエイターにとってプラスな面も大きいでしょう。
クリエイターが制作した作品が、漫画やDVDなどを販売すると、購入者は新品を購入せず古本屋やメルカリなどで購入しようとすることがあります。
しかし、古本屋やメルカリで購入されてもクリエイター本人には一円もお金が入りません。
そこで、NFTを活用しすることで、二次流通時以降も永久的にクリエイター自身にロイヤリティという形で一部収益が入る仕組みを作ることも可能です。
このような観点からの取り組みも今後注目されていくことが予想されます。

