
2026年7月31日、株式会社サンロフトが、「BONSAI NFT CLUB」の開発・運営を行うまじすけ株式会社が新設予定の株式会社NFT CLUBの株式を70%取得することを発表しました。
国内ではまだ事例が少ないWeb3スタートアップのM&Aは、いかにして結実したのでしょうか。
今回は、買い手側である株式会社サンロフトの代表取締役会長である松田敏孝さんと、
売り手側であるまじすけ株式会社の間地悠輔(まじすけ)さんにインタビューを行いました。
そして、本取引のFA(ファイナンシャル・アドバイザー)を務めた株式会社NFTMedia代表である小林憲人が、契約の裏側やWeb3における新たな挑戦について伺いました。
松田 敏孝(まつだ としたか)
株式会社サンロフト 代表取締役会長
1958年静岡県生まれ。新卒で東京芝浦電気株式会社(現 株式会社 東芝)に入社。その後1987年に株式会社朋電舎に入社し、1992年に株式会社サンロフトを設立。「テクノロジーを親しみやすく」という経営理念を掲げ、ブロックチェーンやAI、メタバース事業を推進している。
間地 悠輔(まじ ゆうすけ)
BONSAI NFT CLUB ファウンダー / まじすけ株式会社 代表取締役CEO
学生時代にニューヨーク大学へ語学留学。新卒で語学Q&Aサービスを運営する株式会社Lang-8に入社、同社のCMOを務める。2019年7月にまじすけ株式会社を設立。NFTプロジェクト「BONSAI NFT CLUB」を立ち上げ、2,000名規模のコミュニティを形成
小林 憲人(こばやし けんと)
株式会社NFTMedia 代表取締役
2021年にNFT専門のWebメディア「NFT Media」を立ち上げる。株式会社トレジャーコンテンツ代表取締役。
情報経営イノベーション専門職大学客員教授。
今回のWeb3 M&AでFA(ファイナンシャル・アドバイザー)として、まじすけ株式会社を支援。
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創業34年の老舗IT企業と「BONSAI NFT CLUB」が出会うまで

小林:本日は出張インタビューということで、静岡に本社を構える株式会社サンロフトの松田敏孝さんと、
まじすけ株式会社の「まじすけ」こと間地悠輔さんにお話を伺います。お二人ともよろしくお願いします。
松田・間地:よろしくお願いします。
小林:まずは、サンロフトの歩みと現在の取り組みについて教えていただけますか。
松田:サンロフトは創業34年目を迎える静岡県のIT企業です。私がIT業界に入ったのは40年以上前のことで、当時はスマホやSNSはもちろん、パソコンすら業務で使われていない時代でした。
小林:パソコンもない時代のIT業界というのは、具体的にどのようなお仕事をされていたのでしょうか。
松田:当時は「パソコンなんて売るな、法人向けの大型コンピュータを売れ」と教育された時代です。
コンピュータは1台1,000万円以上する非常に高額なもので、ワープロや表計算ではなく、販売管理や給与計算、財務会計といった企業の「基幹系業務システム」を動かすためのものでした。その後、1995年に「Windows 95」が登場した時のフィーバーは凄まじかったですね。人々が徹夜でパソコンショップの前に並んでOSを2本、3本と買っていき、そこからインターネットが一気に普及していきました。
小林:まさにITの歴史を第一線で歩んでこられたのですね。そこから現在、Web3に注力されている理由はどこにあるのでしょうか。
松田:2022年頃のNFTブームが落ち着き、海外で一時的に熱が冷めたように見えた時期もありましたが、私たちは必ずもう一度大きな波が来ると確信しているからです。
京都の若者たちと「Web3×クリエイター」に焦点を当てたイベント「Nコレ」を展開していた中で、2025年4月には子会社として株式会社COLOR 3も設立しました。
また、NFTチケットアプリ「ハコパス」の開発など自社での技術検証も重ねてきた経緯があります
ニューヨーク留学で培った「グローバルマーケティング」の原点

小林:続いて、まじすけさん、これまでの経歴と「BONSAI NFT CLUB」誕生の背景をお聞かせください。
間地:私は大学時代にニューヨークへ留学し、帰国後に初めてインターンとして入ったのが語学学習アプリのスタートアップでした。
そのアプリはユーザー同士が言語を教え合うサービスで、「日本語を学びたいアメリカ人」と「英語を学びたい日本人」を同時にマッチングさせる必要がありました。そこでグローバルなユーザー獲得マーケティングを4年間担当し、実績を積み上げましたね。
小林:スタートアップでグローバルマーケティングを回せる人材は当時非常に稀少でしたよね。
間地:はい。その知見を他社にも提供すべく、2019年にWebマーケティング専門の「まじすけ株式会社」を創業しました。
しかし、日本の伝統産業である盆栽農家さんの海外マーケティングをお手伝いしていた際、大きな課題にぶつかりました。実物の盆栽を海外へ輸出すると、検疫や配送のタイムラグによって途中で枯れてしまうことが多発したのです。
小林:植物だからこその物理的な壁ですね。
間地:そこで、「実物の管理は日本のプロの農家さんに任せ、所有権だけをNFTとして世界中で安全に流通させればいいのではないか」と思いつき、2022年に「BONSAI NFT CLUB」を立ち上げました。今年で4年目を迎えますが、コミュニティと共に着実に成長を続けていますね。
なぜ事業売却を決断したのか

小林:順調に見えた「BONSAI NFT CLUB」ですが、なぜ今回、事業売却や提携という選択肢を考え始めたのでしょうか。
間地:プロジェクトや支援事業が拡大する一方で、自社の小さな組織構造では「リソースの限界」に直面していたからです。
世界的に金融領域にとどまらない「非金融領域のRWA(リアルワールドアセット)」という新しい大きなトレンドが広がっている中で、盆栽以外のテーマにも横展開できるポテンシャルを感じていました。しかし、現状のチームでは「BONSAI NFT CLUB」の運用だけで手一杯だったのです。
そこで、今後の展開について小林さんにご相談したのがすべての始まりでした。
小林:最初から「会社を売りたい」という話ではなく、「このプロジェクトをどう世界スケールで伸ばすべきか」という相談でしたよね。パートナー探しにあたって、どのような条件を希望されていたのですか。
間地:条件は明確でした。ひとつが、Web3やNFTの将来的なポテンシャルと「波を一緒に仕込む感覚」を共有できることです。
そして、開発リソースと共に一緒に手を動かせる企画メンバーがいることも挙げられます。最後が、金融領域やアセットのNFT化に関する豊富なコネクションを持っていることでした。
小林:一方、買い手であるサンロフトは、どのようなM&A戦略をお持ちだったのでしょうか。
松田:目まぐるしく変化する現代において、自社単独でゼロから作るよりも、同じ志を持つ企業と手を組むM&Aはスピードを上げるために不可欠な戦略です。小林さんから「BONSAI NFT CLUB」のお話を聞いた時、一目で「これはNFTの本質を突いたビジネスモデルだ」と感銘を受けました。
小林:具体的にどの部分に本質を感じられたのですか。
松田:本物の盆栽は家に持ち帰っても素人が育てるのは難しく、枯らしてしまうリスクがあります。しかし、プロに預けて手入れをしてもらいながら「所有権」だけをNFTで保持すれば、手入れによって盆栽の価値が上がるのに連動してNFTの価値も上がります。
しかも、実物を動かすコストやリスクなしで世界中で容易に流通させられる。これはNFTの最も正しい活用法だと直感しました。
1週間後の飲み会で湧き出た「〇〇NFTクラブ」の構想

小林:双方のニーズを把握していた私としても、「サンロフトの開発力・スピード感」と「まじすけさんの企画力・コミュニティ運営力」は完璧に合致すると確信してお引き合わせしました。
実際にお会いされた時の印象はいかがでしたか。
松田:私は普段からNFT MediaのYouTubeを見て小林さんに絶大な信頼を寄せていたので、「小林さんが言うなら間違いない」と最初からノリノリでした。
東京駅近くの会議室で初対面した際、まじすけさんの視野の広さや人柄の良さに触れ、即座に「一緒にやりたい」と方針が固まりましたね。
間地:初回面談の翌週、松田さんが静岡から東京に出てきてくださり、一緒にご飯を食べに行ったんです。
その席で、松田さんから「カラオケ好きな人が集まるカラオケNFTクラブはどうだろう」、「ボトルの権利を売買するボトルキープNFTはどうか」、「日本酒やワインのNFTクラブもできる」、など、泉のようにアイデアが次々と湧き出てきたんですよ。
出会って1週間なのにその熱量と速度感に触れて、「この人と組んだら絶対面白くなる!」とビビッときました。
交渉の最難関:Web3特有の売上ボラティリティと「ファウンダー依存」
小林:意気投合した両社ですが、実際のM&A交渉や条件調整において、Web3特有の難しさや時間をかけたポイントはありましたか。
松田:実務的な契約条件や細かいすり合わせは、弊社の取締役(松下和馬さん)が完璧にやってくれたので、私は未来の事業構想ばかり考えていて苦労は全くありませんでした(笑)。非常に優秀なチームに感謝しています。
間地:まじすけ側として一番時間をかけて議論したのは、「Web3市場特有の売上ボラティリティを踏まえた事業計画」と「ファウンダー依存問題の解決」の2点でした。
小林:NFTプロジェクトにおける「ファウンダー依存」は業界全体の構造課題ですよね。
間地:はい。NFTは「誰がトップでコミュニティを率いているか」という個人の魅力に売上が大きく左右されます。今回、私が新会社の副社長およびファウンダーとして「BONSAI NFT CLUB」を継続して牽引することはもちろんですが、今後新しい「〇〇NFT CLUB」を横展開していくにあたり、私以外の新しいファウンダーを育成・排出する教育の仕組みをどう作るか、松田会長と徹底的に話し合い、素晴らしい着地点を見出すことができました。
新会社「株式会社NFT CLUB」の全貌と「〇〇NFT CLUB」の水平展開

小林:こうして誕生した新会社「株式会社NFT CLUB」ですが、今後の具体的な事業戦略について教えてください。
松田:まず「BONSAI NFT CLUB」自体をさらに世界的なプロジェクトへと大きく成長させます。
そして、そこで培ったコミュニティ運営や権利紐付けのノウハウをパッケージ化し、「〇〇NFT CLUB」として様々なテーマで水平展開していきます。それぞれのクラブに専任のファウンダーを立て、その集合体として「株式会社NFT CLUB」の価値を高めていきます。
間地:私は新会社の副社長として参画し、4年間で培ったコミュニティ形成ノウハウを新たなファウンダーたちにインストールしていきます。また、これまで弊社が手がけてきた大手企業や自治体向けのWeb3/NFTコンサルティング・開発支援事業も強力に推進します。
小林:過去にも大手企業との実績が多数ありましたよね。
間地:NTTドコモ様(eスポーツ×NFT企画・賞金エコシステム)や上場企業の東北新社様、報道機関様のアドバイザリーを務めてきた実績があります。また、サンロフトグループの「株式会社COLOR3」が持つ技術力やイベント企画力との「リアル×デジタル」のシナジーも最大化させていきます。
「テクノロジーを親しみやすく」の理念で切り拓くWeb3とRWAの未来
小林:最後に、読者や視聴者の皆様へメッセージをお願いします。
松田:「BONSAI NFT CLUB」が築いてきた温かいコミュニティ文化や社風は一切変えず、そのまま大切に継承します。
そこにサンロフトの経営理念である「テクノロジーを親しみやすく」を融合させ、難解と思われがちなWeb3やAI、スマートコントラクトを、誰もが日常で親しめる体験として社会へ届けてまいります。Web3に挑戦したい企業様は、ぜひ気軽にお声がけください。
間地:Web3が一般へ普及するための最大の入り口こそが、非金融領域のRWAです。
自社のアセットを活用して新しいNFT事業を仕掛けたい企業様はもちろん、「〇〇NFT CLUB」のファウンダーとして一緒に世界へ挑戦したいという熱い想いを持った方も大募集しています。
小林:NFT Mediaでは、Web3ビジネスの参入支援や、Web3領域におけるM&A・FA支援を行っています。買い手・売り手問わず事業の譲渡や取得をご検討中の方は、ぜひお問い合わせください。
お二人とも、本日はありがとうございました!
松田・間地:ありがとうございました!
▶︎YouTubeでの視聴はこちら
- 株式会社サンロフト 公式サイト:https://www.sunloft.co.jp/
まじすけ株式会社 公式サイト:https://majisuke.com/


