シンプレクスの三浦和夫氏が語る!業界を越えてオンチェーン化を広める戦略

※当サイトには広告が含まれます。

シンプレクス株式会社は、メガバンクや大手総合証券をはじめとする金融機関のテクノロジーパートナーとして、業務システムや資産運用システムなどを開発してきた企業だ。近年は金融領域で培った知見を活用して、幅広い業種にDX支援を展開している。

システム開発だけに限らず、戦略立案から設計、運用保守までを一気通貫で提供できる点を強みとしている。しかもブロックチェーンにも意欲的であり、黎明期からWeb3領域にも参画してきた歴史を持つ。

主な実績として、JPYCの発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」を構築したのも同社である。

このシンプレクスでは現在、業界や業種の垣根を越えて、さまざまな企業のweb3を活用した事業企画をサポートしているという。

一体どのような方策でweb3のマスアダプションを推進しようとしているのか。今回は同社でエグゼクティブプリンシパルを務める三浦和夫氏に、その戦略について聞いた。

【プロフィール】
三浦和夫(みうら かずお)
シンプレクス株式会社
 エグゼクティブプリンシパル

大学院修了後、2010年新卒でシンプレクス入社。FX/暗号資産ディーリングソリューションを統括し、開発からデータ分析による収益向上など幅広く事業者をサポート。その後は、新規技術領域でのR&Dをリードし、現在はブロックチェーン技術を用いた、暗号資産、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコインなどの領域に加え、Gameなどエンタメ領域のweb3化も推進。ソリューション面からweb3事業領域を統括する。

プロダクトマネジャーとしてディーリングシステムのSaaS展開にも取り組む傍ら、メディアへの寄稿や講演、講義なども行っている。代表プロジェクトに、ステーブルコイン発行・償還システム(JPYC株式会社)、ウォレットサービス「A Wallet」(株式会社アミューズ)、「PlayMining」プラットフォームシステム(Digital Entertainment Asset Pte. Ltd.)、ディーリングシステム(株式会社メルコイン他多数)、証券会社へのSTシステム提供など。

金融システム開発の知見をweb3へ

NFT Media編集部(以下、編集部):まず、シンプレクスがどのような企業なのか教えてください。

三浦和夫(以下、三浦):シンプレクスは創業以来、メガバンクや大手総合証券など金融機関のテクノロジーパートナーとして事業を展開してきた会社です。

これまでの実績として、野村證券の資産運用アプリや松井証券のFXディーリングシステムといったシステムを開発してきました。シンプレクスの強みとして、システムの開発だけでなく、戦略立案から設計、運用保守までを一気通貫で提供できる点が挙げられます。

NFTMedia編集部(以下、編集部):私たちが銀行のアプリや証券会社のトレードシステムを使えるのは、シンプレクスのおかげなのですね。

それではシンプレクスにおいて、どのようなweb3関連事業を展開されているのか、教えていただけますでしょうか。

三浦:暗号資産の黎明期から、金融機関や事業会社向けに取引所システムやウォレットなど、ブロックチェーン技術を活用したシステムの構築を支援してきました。

具体的な事例としましては、Digital Entertainment Asset(DEA)の「PlayMining」プロジェクトにおいてプラットフォーム開発に携わりました。

最近の事例では、JPYCの発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」を構築したのも当社ですね。

編集部:金融分野で培ったノウハウを活かして、web3領域のシステムを開発されているのですね。

フリクションレスな体験でエコシステムを広げる

編集部:2026年7月のプレスリリースでは、JPYC EXにおいて連携APIも開発されていると発表されましたね(※)。このAPIは、どのような役割を果たすのでしょうか。

※ プレスリリース シンプレクス、JPYCの「JPYC EX連携API」の開発を支援

三浦:今回のAPI提供により、事業者間でのシームレスな連携を実現します。

まず前提として、当社が開発した「JPYC EX」ではJPYCの発行と償還が行われています。これまでの仕組みではウォレット等の各種サービスの利用中、JPYCの発行・償還をしたい際に、ユーザーが一度サービスを離れ、自らJPYC EXにログインして発行・償還を行うという手間が発生してしまっていました。つまり、一旦ユーザー体験が切れてしまうんですよね。

そこでシームレスな顧客体験を実現するために、今回のAPI提供に至りました。本APIはこの「JPYC EX」の手続き画面への遷移をシームレスにし、手続き完了後は自然に元のサービスに戻る体験を可能にしています。このAPIを窓口として決済、送金、web3サービスなど、さまざまなJPYCのユースケースが広がることを期待しています。

注)本APIは利用者の画面遷移をスムーズにするための連携機能であり、連携先事業者が当社に代わって発行・償還の申込み受付や、取引可否・予約内容の確定を行うものではありません。審査や追加認証、申込みの最終受付および確定といった一連の手続きは、従来通りJPYCが実施します。

マルチチェーン時代の標準化

編集部:PolygonやKaiaなど、 JPYCでもマルチチェーンでトークンを発行できるようになりましたよね。便利になる一方で、一般ユーザーがPolygonやKaiaなどのチェーンを識別できずに混乱を招くのではないかと危惧しています。このような現状をどのように捉えていますか。

三浦:今は過渡期の段階だと捉えています。

現時点ではサービスごとにそれぞれ使うチェーンが違うので、より多くのサービスでJPYCを利用していただくには、マルチチェーンに対応することは必要です。一方で、「Aというチェーンのサービスを使う場合にはAチェーン上のJPYCが必要」など、ユーザーが意識して使わざるを得ない部分があるのも事実です。将来的には無くすべき障壁だと言えるでしょう。

今はまだ試行錯誤の段階ですが、マスアダプションが進むとシステムの裏側で処理される未来も訪れるはずです。

編集部:チェーン間の資金移動が可能になる、という未来ですね。

三浦:これを実現するための基盤技術は、すでに揃ってきています。さまざまな角度での利便性の向上が、今後の通貨としての普及の一つのキーになると思います。

「ステーブルコイン×AIエージェント」だけが唯一解ではない

編集部:最近ではAIエージェントも急速に進化しており、「AIエージェント×ステーブルコイン」の可能性を各社が主張しています。シンプレクスにおいても、「AIエージェント×ステーブルコイン」の時代を見据えているのでしょうか。

三浦:その可能性はあるものの、「決済手段をステーブルコインだけに狭める必要はない」というのが私の考えです。

当然、「AIエージェント×ブロックチェーン」により生まれる価値はあると思っています。

ただ、例えば「AIエージェント向けの決済手段を作りましょう」という流れになったとして、ステーブルコインが唯一の選択肢かというと、おそらくそうではないはずです。

現状では、ほとんどの人が銀行口座を保有しており、クレジットカードも活用しますよね。そうすると、既存の仕組みの中でAIエージェントによる決済もできる、という道の方がニーズに合っているはずです。

これとは別のルートで、ブロックチェーンを使ったAIエージェントによる取引のサービスも登場するかもしれません。ただ、今の段階から「AIエージェントの決済手段はステーブルコインしかない」と決めつけるのは、時期尚早だと思います。

編集部:技術的には、「AIエージェントによるクレジットカード決済」といった手段も可能なのですね。

三浦:はい。既存金融の仕組みであっても、安全性を確保しつつ、できることはたくさんあるはずです。

web3業界として「ステーブルコイン×AIエージェント」の方向を目指す選択は間違っていないと思います。ただ、AI決済の仕組みを構築する人は、複数の支払い手段を視野に入れています。このような背景から、ステーブルコインはあくまで選択肢の1つとして捉えるべきです。

今後両方の技術がそれぞれ進化し、マイクロトランザクションをAIがマネージすることができるようになれば、エコシステムを爆発的に拡大する可能性はあると思います。

ターゲットは全方位──業界の垣根を取り払う「横串DX」

編集部:ステーブルコインや金融のオンチェーン化への期待から、昨今ではさまざまな企業でweb3施策の現実味が増してきていると思います。シンプレクスでは、伝統的な金融機関と新興の暗号資産交換業者の双方との取引がありますよね。金融のオンチェーン化は、どこをきっかけに拡大していくと考えていますか。

三浦:いわゆるメガバンクか暗号資産取引所かという問いであれば、「どちらか一方」ではないと思っています。

つまり、業界・業態の垣根が取り払われていく方向になるでしょう。今後の展開を予想すると、暗号資産や既存の金融商品、トークン化された資産も「どこからでもさっと取引できる」という世界線になっていくはずです。

そのため、暗号資産交換業者が窓口になるパターンもあれば、銀行や証券を経由してオンチェーン資産にアクセスできる方法も登場するはずです。基本的には、業界や業種を横断した全方位的な変化だと捉えています。

編集部:業界や業種の垣根を超えるということは、金融以外の領域で稼働するシステムにもブロックチェーンが接続されてくるのですね。

三浦:そうですね。あらゆる資産がトークン化された未来では、ユーザーの視点では企業や業態の枠を越えて運用や決済ができる、そういう世界観になっていくと予想しています。

これを実現する場合、裏側のシステムも連携されていなければなりません。そこでブロックチェーン技術が必要になります。また、企業システムがブロックチェーンと接続されると、DXの観点で効率化も実現できるはずです。

編集部:オンチェーン化によってDXが加速するのですね。

三浦:今までのDX施策では、企業ごとに「どう改善するか」という個別最適の施策に留まっていました。しかし、ブロックチェーンによって企業間のシステムが横串で接続されれば、それを前提に業務を設計できます。ブロックチェーン技術によって、横断的なDXがさらに加速するイメージですね。

他社と連携して業界を変えていく

編集部:ユースケースの拡大や新規案件の獲得など、直近のシンプレクスのweb3施策では何に一番注力されていますか。

三浦:特定のユースケースに限定せず、幅広く企業との連携を進めています。

というのも、web3を普及させるにあたって、当社だけで戦う勝負ではないと思っているんですね。金融領域でのブロックチェーン活用と一言で言っても、銀行もあれば証券もあり、暗号資産も保険もある。これらを連携させてより良い顧客体験を作るのであれば、全社が足並みを揃えて作っていかないといけないです。

編集部:横串の顧客体験を実現するために、各社との連携が重要になるのですね。

三浦:そうです。このような背景から、最近は「A社とB社が提携しました」というニュースが多いですよね。当社も各社が進めているプロジェクトに参画し、企画を前に進めていかなければならないタイミングだと思っています。

まだユーザーが実際に使えるプロダクトは少ないかもしれませんが、それを作るための裏側でのパートナー作りは着実に動いている状況です。当社もこれまで培ってきたブロックチェーンの技術力やステーブルコイン等のプロダクトや実績をもとに、プロジェクトの具体化に向けて協力しているところですね。

あらゆる企業がパートナー候補に──金融から、IP・流通へ

編集部:シンプレクスでは、金融系クライアントからの相談が多いと思います。この他に、web3ビジネスを始めたい金融以外の企業からの相談も受け付けているのでしょうか。

三浦:もちろん、新規のお客様からのご相談も受け付けています。

今は割と金融領域でのご相談が中心です。この理由としては金融がすべてのサービスのベースになる領域であるということが挙げられます。オンチェーンでサービスが完結するには、まずはオンチェーン金融が必要です。

ただその先では、IPや流通など、幅広い業界がブロックチェーンを活用するはずです。そういう意味で言うと、あらゆる企業と組む未来が到来すると捉えています。「このビジネス領域でブロックチェーンを活用したい」など、ぜひご相談ください。事業企画から伴走させていただきます。

編集部:シンプレクスの取引先としては、大企業と組んでいる印象です。予算感やシステムの規模から勘案して、このイメージは合っておりますでしょうか。

三浦:それはある程度合っています。というのも、ブロックチェーンを活用して横串のシステムを実現する際には、業界全体に対する影響力が大切となるからです。

なので必然的に、業界で一定のシェアを持つ大企業との取り組みが多くなる感じですね。業界のリーディングカンパニーとともに仕組みを構築し、それを全体的に広げる戦略で進めています。

編集部:将来的には、IPや不動産など、幅広い業界のリーディングカンパニーとのプロジェクトが動きそうですね。本日はありがとうございました。

 インタビューを終えて

「ステーブルコイン×AIエージェント」だけが唯一の解ではない。──web3業界の内部にいるほど陥りがちな技術中心の視点に対して、三浦氏の視点は冷静だった。

既存の決済インフラの強さを認めた上で、ブロックチェーンが本領を発揮するのは「業界の垣根を取り払う横串DX」の領域だと見定める。金融機関のミッションクリティカルなシステムを30年近く支えてきたシンプレクスだからこその、地に足のついた現実感がそこにはあった。

一方で、JPYC EX連携APIの話からは、普及のボトルネックが技術ではなく「体験の分断」にあるという明確な課題認識が伝わってきた。発行・償還のたびにサービスを離れる一手間が、ユーザーを「もういいや」にさせてしまう。だからこそパートナーとの連携を深め、フリクションレスな導線を作ろうとしている。ステーブルコインが日常のインフラになる未来までの道筋は、こうした地道な座組み作りの先にあるのだろう。

ブロックチェーン活用を検討する企業にとって、示唆に富むインタビューとなった。

関連リンク

暗号資産・NFTの取引をこれから始めたい方には、GMOコインの口座開設がおすすめです。

GMOコインのおすすめポイント
  • 国内最大級の銘柄数を取引できる
  • 入出金や送金など各種手数料0円
  • ステーキングやつみたて、IEOなど豊富なサービスを展開

現在GMOコインでは、暗号資産を購入することで、毎日10名に現金1,000円が当たるプログラムを実施中です。

GMOコイン キャンペーン

プログラムの参加手順は以下の通りです。

  1. 下のボタンからGMOコインにアクセスし、口座を開設(無料)
  2. 口座開設/ログイン後、販売所で暗号資産を500円以上購入、または「つみたて暗号資産」で暗号資産を1回以上購入
  3. 毎日抽選で10名に現金1,000円をプレゼント!当選結果は会員ページで確認可能

毎日抽選で10名に当たるチャンスですので、興味のある方はぜひ参加してみましょう。