日本の新時代を拓くWeb3起業家 3選

日本国内では、これまでブロックチェーンやNFTをはじめとしたWeb3領域に関する法整備や税制の壁があり、世界を牽引するようなメガベンチャーが生まれにくい環境にあると指摘されてきました。

しかし、そんな逆風の中でも、果敢にグローバル市場へ挑戦し、次世代のインターネットとも呼ばれる「Web3」の分野で世界を変えようとしている日本人起業家たちが存在します。

彼らは単に技術を追うだけでなく、「インフラ」、「エンタメ」、「ファンエコノミー」といった具体的なユースケースにWeb3の思想を掛け合わせ、社会に実用的なサービスを提供して着実な結果を残しています。

こうした先駆者たちの活躍により、「日本のWeb3企業は世界でも十分に通用する」という確かな手応えが生まれつつあります。

本記事では、日本の新時代を切り拓き、国内外から熱い注目を集めているWeb3起業家5名をピックアップし、その経歴や手掛けるサービス、彼らが描く未来について網羅的に解説します。

宮下大佑氏(株式会社チケミー)

引用:チケミー 公式サイト

一人目が、株式会社チケミーの代表取締役CEO 宮下大佑氏です。

宮下大佑氏は、2人の祖父が経営者という環境で育ち、幼い頃から起業を身近に感じていました。2021年に早稲田大学政治経済学部へ入学するも、コロナ禍で通学が難しい状況の中、池袋で出会った露天商から仕入れのノウハウを学び、大学1年生にしてアパレルECサイトを立ち上げます。

その後、同事業を売上12ヶ月分の評価額で売却。さらに「流通」について幅広い知見を得るため、スタートアップ投資を行うベンチャーキャピタル「East Ventures」にリサーチ業務でジョインしました。

そして、物やサービスの流通構造を根本から変える可能性をブロックチェーンに見出し、2022年6月、わずか20歳という若さで株式会社チケミーを創業しました。

宮下大佑氏が創業したチケミーは、日本初のNFTチケット販売プラットフォームです。東宝やホリプロなどの大手事業者にも導入されており、ブロックチェーン技術を活用することで、これまで追跡が難しかったチケットの「二次流通(リセール)」を透明化しています。

チケミーの最大の強みは、以下の画期的な仕組みにあります。

特許技術「RFT」による不正防止:
「Redeemable Futures Token(償還可能な先物トークン)」に関する特許を取得。
入場用のQRコードを表示した瞬間に、チケットが譲渡不可の「SBT(Soulbound Token)」へ変換される仕組みにより、二重消費や不正利用を完全に防ぎます。

悪質な高額転売の防止と利益還元:
単に転売を禁止するのではなく、買い手と売り手を適正にマッチング。
定価以上のオファーがあった場合、その差額の一部(10%〜90%の間で自由に設定可能)をイベント主催者やクリエイターに還元できる仕組みを実現しています。

「誰から買ったか」を価値化:
アーティストのウォレットから直接チケットを購入した履歴が残るため、チケット自体がファンのロイヤリティを証明するデジタル資産となります。

宮下大佑氏 X:https://x.com/dd_TicketMe

企業名:株式会社チケミー
設立年:2022年6月
サービスURL:https://corp.ticketme.jp/
公式X:https://x.com/TicketMe_Yeah

NFTMediaのYouTubeチャンネルにも出演いただいたため、こちらもご覧ください。

【前編】チケミー宮下大佑/転売は悪じゃない!NFTが変えるチケット市場/2.2億円集めた23歳起業家が語る革新的ビジネスモデルとは?

齊藤達哉氏(株式会社Progmat)

引用:株式会社Progmat 公式サイト

二人目は、株式会社Progmatの代表取締役である齊藤達哉氏です。

齊藤達哉氏は新卒で三菱UFJ信託銀行に入社し、初期は不動産関連の業務などに従事していました。年功序列で経験者の意見が優遇される金融機関において、「若手でも経験則に縛られず勝負できる領域」として2015年頃からFinTech領域に目を向け社内で奔走。その結果、2016年12月に「FinTech推進室」の設立を実現させました。

そこで現在の「Progmat」の原型となるプロジェクトがスタートしました。その後、事業規模の拡大とインフラとしての独立性を高めるため、2023年10月にスピンオフし、株式会社Progmatの代表取締役に就任しています。

Progmatとは、金融商品をブロックチェーン上で発行・流通させるためのSaaS型プラットフォームです。
最大の強みは以下の点にあります。

圧倒的な国内シェアと実績:
不動産などを裏付けとするセキュリティトークン(ST)市場において、国内の平均運用残高(約6,000億円弱)のうち、実に約7割のシェアをProgmatのシステムが占めています。

オールジャパンの株主・協業体制:
三菱UFJ信託銀行だけでなく、三井住友、みずほ、SBI(ODX)、JPX(日本取引所グループ)、NTTデータ、Datachainなど、競合の垣根を超えたインフラ・金融のトップ企業が株主として参画しており、強力なネットワーク効果を生み出しています。

法規制と実務の徹底的なクリア:
ブロックチェーン技術自体の開発にとどまらず、税務、会計、法規制といった「全体の95%を占める実務面」の課題をシステム上で標準化し、解決しています。

齊藤達哉氏 X:https://x.com/tatsu_s1203

企業名:株式会社Progmat
設立年:2023年10月
サービスURL:https://progmat.co.jp/
公式X:https://x.com/progmat_en

NFTMediaのYouTubeチャンネルにも出演いただいたため、こちらもご覧ください。

【業界展望】オンチェーン化は既存金融をどう変えるか

岡部典孝氏(JPYC株式会社)

引用:JPYC株式会社 公式サイト

三人目は、JPYC株式会社の代表者である岡部典孝氏です。

岡部氏は、20年以上にわたり最先端テクノロジーとビジネスの境界線で挑戦を続けてきたシリアルアントレプレナーです。大学生の頃、ネットゲームの経済規模が拡大していくのを目の当たりにし、リアルマネートレード(RMT)事業に関心を抱き大学を中退。

有限会社リアルアンリアルを創業しました。そこでは法定通貨連動型のデジタルコインを発行し、ゲーム内通貨を取引するという、いわば「ブロックチェーンなしのUSDT・USDC」をいち早く実現。

16年ほど経営する中で、詐欺やマネーロンダリング、税金への対処といった、現在のブロックチェーン業界と全く同じ課題に当時から直面し、解決に奔走していました。

その後、位置情報ゲーム「Ingress」に熱中したことをきっかけに、「ゲーム内でデータ収集(神社の写真撮影など)に協力してくれた人に暗号資産を配りたい」と考え、リアルワールドゲームス株式会社を創業。まだNFTという言葉すら知られていなかった2015年頃に、現在の「STEPN × ポケモンGO」のようなプロトタイプを開発していました。

しかし、時代を先取りしすぎた結果、大企業には相手にされず、「日常生活で決済に使えないアルトコイン」の限界を痛感します。そこで「1ポイント=1円として使えるトークン(ステーブルコイン)が必要だ」と思い至ります。誰かが作ってくれないかと期待したものの、「よく考えたら20年前に自分がやっていた事業だ」と気づき、「自分が作った方が早い」と決意。こうしてJPYC株式会社を創業しました。

同社が提供する「JPYC」は、1JPYC=1円で取引される電子決済手段です。米ドルステーブルコインの覇権を握る「USDC」を発行するCircle社と提携し、技術仕様をUSDCに準拠させることで、マネーロンダリング対策機能を強化し、国内外のウォレットや取引所が低コストでJPYCに対応できる基盤を確立しました。

また、決済手数料で利益を上げる既存金融の手法は取っていません。JPYCを発行する際に必要な裏付け資産である日本国債の利回りから利益を得ています。

岡部典孝氏 X:https://x.com/noritaka_okabe

会社:JPYC株式会社
設立年:2019年11月
サービスURL:https://corporate.jpyc.co.jp/
公式X:https://x.com/jpyc_official

【日本円ステーブルコイン】JPYCは日本のキャッシュレスをどう変える?

まとめ

本記事では、日本のWeb3業界を牽引し、独自のビジネスモデルで社会課題の解決に挑む3名の起業家をご紹介しました。

次世代のインターネットとも呼ばれるWeb3は、これからさらに私たちの生活へと深く浸透していくでしょう。今回ピックアップした起業家たちや、彼らの手がける画期的なサービスが今後どのような進化を遂げ、グローバル市場で躍進していくのか。日本のWeb3業界が切り拓く新時代から、今後も目が離せません。

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