ステーブルコインの仕組みや代表例、将来性をわかりやすく解説

前文・従来の暗号通貨(暗号資産、仮想通貨)の弱点を補うものとしてステーブルコインに注目が集まっています。価格変動が少なく、投機的な使い方を抑制して、生活に根ざした暗号通貨として利用が広まることが予想されています。ステーブルコインの実態や仕組みを紹介し、将来性や多様な可能性について解説します。

本記事では、以下の3つの項目で解説します。

  • ステーブルコインの概要
  • つくられた経緯
  • 4つの種類

では、それぞれどのようなものか具体的に見ていきましょう。

ステーブルコインの概要

ステーブルコインのステーブルとは、「固定」や「安定」を意味します。その名の通り、ステーブルコインは仮想通貨(暗号資産)であるにも関わらず、価格が安定しているのが特徴です。これは、法定通貨に価格をベッグ(紐付け)していることが要因となっています。

そもそもビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨(暗号資産)は常に価格の変動にさらされてきました。その変動額は非常に大きく、高騰・暴落が毎日のように起こっています。ビットコインで億り人となった方がわずか1日後には暴落によって資産のほとんどを失ったなどという話も珍しくありません。

そのため仮想通貨(暗号資産)は決済手段や保有資産としての安定性を欠いていると言えます。

しかしステーブルコインは法定通貨とベッグ(紐付け)していることもあり、価格が安定しています。非常に使いやすいのが特徴で、例えば為替が暴落した時のためのリスクヘッジにも活用が可能です。

価格の安定性から考えれば、従来の仮想通貨(暗号資産)ではできなかった日々の決済手段としての選択肢にもなるでしょう。

このようにステーブルコインは安定した価格を保持した仮想通貨(暗号資産)として、役割が期待されています。

つくられた経緯

そもそもステーブルコインはなぜ生まれたのでしょうか。その理由は、やはりビットコインを含めた仮想通貨(暗号資産)の価格変動が激しい(ボラティリティが大きい)ことにあります。

仮想通貨(暗号資産)の市場規模は年々、増加していますが、価格変動が激しい点が常に問題になります。

近年暴落した代表的なケースは以下になります。

時期原因下落幅
2020年2~3月新型コロナウイルスの流行1BTC約100万円→約50万円
2021年5月テスラによるBTC決済中止1BTC約594万円→約540万円
2022年2月ウクライナ情勢1BTC約500万円→約393万円
2022年5月ステーブルコインショック1BTC約510万円→約340万円

数年の間で、これだけの暴落が起こっています。そのため仮想通貨(暗号資産)は投機的な狙いで保有する人が多く、決済手段や資産保有として必要な安定性が欠けていました。例えば、給料を仮想通貨(暗号資産)で受け取った直後に、その価値が暴落してしまったら、生活もままなりません。結果として、仮想通貨(暗号資産)が敬遠される要因になっています。

ステーブルコインはこうした経緯から、安定性が担保できる法定通貨にベッグ(紐付け)することで暴落などのリスクヘッジに対応することを目指して、開発されました。同時にその安定性から決済手段としても利用が広まることも期待されます。米ドルや金などの通貨や実物資産と価値が連動するように設計されていることもあって、新たな決済手段の1つとして注目は高まっています。

4つの種類

一口にステーブルコインといっても、その種類は4種類あります。価格を安定させる手法の違いから、以下のようにわけられています。

種類担保されているもの
法定通貨担保型米ドルや円など現実で利用されている法定通貨
仮想通貨担保型ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨
商品担保型金などの商品
無担保型(シニョレッジ・シェア型)市場の需要と供給

これらの中で最もわかりやすいのが、法定通貨担保型です。米ドルや円など現実で利用されている法定通貨を担保としているため、変動率を抑制できます。そのためステーブルコインの安定性や信頼性を高めることも可能となります。

多くのステーブルコインが法定通貨担保型で発行されている理由の1つです。しかしながら、発行元は担保となる法定通貨を保有していなければならないため、誰もが発行できるわけではありません。

一方の仮想通貨担保型は、その名の通りビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨(暗号資産)を担保にしています。ボラティリティが大きいことからステーブルコインとしては、保証力が弱いという側面を持ちます。また、仮想通貨担保型で発行する場合は、発行元がステーブルコインよりも多くの仮想通貨(暗号資産)を保有している必要があるので注意が必要です。

他にも商品担保型では、安定資産の代表格である金を担保にしていたり、需要と供給をアルゴリズムによって把握して価格の安定を図る無担保型があります。

どれも担保の形としては難しいこともあって、法定通貨担保型が主流となっています。

ステーブルコインの市場規模

ステーブルコインの市場規模は、22兆円にまで上っています。(2022年記事執筆時点)仮想通貨(暗号資産)の代表格であるビットコイン・イーサリアムと比較すると以下のようになります。

ステーブルコイン22兆円
ビットコイン52兆円
イーサリアム22兆円

このようにステーブルコインは既にイーサリアムと同規模の市場規模にあり、投資的な価値は十分にあると言えるでしょう。

一方で取引ができる市場は海外が主流になっており、国内では少ないのが現状です。

代表的なステーブルコイン

ステーブルコインには様々なものがあります。そのため実際に保有する際、何を選んでいいのかわらかないという方もいるでしょう。

以下で代表的なステーブルコインを紹介します。

名称タイプ連動通貨
Tether(USDT)法定通貨担保型米ドル
TrueUSD(TUSD)法定通貨担保型米ドル
ダイ(DAI)仮想通貨担保型イーサリアムなど
Tether Gold(XAUT)商品担保型
USDコイン(USDC)法定通貨担保型米ドル
Binance USD(BUSD)法定通貨担保型米ドル
JPYC(JPY Coin)法定通貨担保型日本円
AMPL無担保型-

以上のように、その多くが米ドルを連動通貨としているのが特徴です。日本円のステーブルコインももちろんあります。

注目したいのが、米ドルなどの法定通貨と連動しているものが多い点。法定通貨の代替機能としての役割もあるため、例えば渡米した際に米ドルと連動しているステーブルコインを保有していれば、両替せずに米ドルを持っていることとなります。同様の使い道として、分散資産として取られている人も多くいます。保有資産が暴落した際のリスクヘッジとして活躍してくれるでしょう。安定資産である金を担保にしている点も見逃せません。

このようにステーブルコインは非常に安定性のある銘柄も多くあるのが特徴です。

ステーブルコインの将来性・可能性

ステーブルコインは法定通貨などを担保とすることで安定性を得ることに成功しました。これは従来の仮想通貨(暗号資産)にはなかった大きなメリットです。高い将来性を期待する声も少なくありません。

しかし一方で、ステーブルコインの1種であるテラUSDが暴落した事例もあり、システムとして完全に安全ではありません。そのため世界では続々と規制強化を進めているのが現状です。

日本においては、2022年6月3日にステーブルコインを規制する改正資金決済が成立しています。これは金融のデジタル化に対応した資金決済制度を作ることを目的として可決されました。ステーブルコインをマネーロンダリングに使われないための対策強化です。

ステーブルコインの抱える課題は、実用化にどう向かって行くかにかかっています。価格の安定性が高い一方で、テラUSDのように暴落しないとも限りません。そのため決済手段としての実用性や法整備が求められています。

2019年10月に開催されたG7では、ステーブルコインについて以下の課題があると指摘されています。

  1. 法的な確実性
  2. 健全なガバナンス
  3. マネーロンダリング・テロ資金供与・その他の形態の不法な金融
  4. 決済ステムの安全性・効率性および完全性
  5. サイバーセキュリティおよびオペレーション上の頑健性
  6. 市場の完全性
  7. データのプライバシー保護およびポータビリティ
  8. 消費者・投資家の保護
  9. 課税上のコンプライアンス

G7では以上9個の課題が解決されなければステーブルコインの運営を行うべきではないと発表されました。日本はそのうちの1つを世界に先駆けて可決したわけです。

先行きがまだ見えないように感じられるステーブルコインですが、逆に言えば解決すべき課題が見えているということもであります。上記9個の課題を解決していけば、ステーブルコインが実用に耐える通貨として、もっと重要な存在になることも夢ではないでしょう。今後、法定通貨や決済分野を中心に用途が増えていくことも考えられます。

ステーブルコインの抱える課題は大きいものの、その安定性から従来の仮想通貨(暗号資産)にはない強みがあります。これらを考えるとその将来性には期待したいところです。

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